契約書のすすめ

契約書の効力

法律上、契約というのは口約束だけでも成立します。
契約書というものは契約の内容や成立を確認するために作るものであって、契約の成立そのものには関係ありません。

現実にはどんなに信用できる相手であっても、いつ何があるのかはわからないものです。
相手方の経営内容や財政状況によって支払えなくなるだけならまだ予測できそうですが、 事故や災害などはとても予測できるものではありません。

また、「いまさら『契約書を作りたい』と言い出したら相手の機嫌を損ねるかも」と自分からは言いにくいかもしれません。
しかし契約書というのは、自分の権利だけではなく相手の権利も守るという側面があります。 代金や支払期限だけではなく、納品するものの数量や内容などを明確にすることで、 自分の代金を請求する権利と相手の商品を請求する権利の両方を守ることができるのです。

いざというときに自分の権利や信頼できる顧客を守るために、どんな相手であっても必ず契約書は作成するようにしておきましょう。

契約書の管理体制を整える

契約書を作成したとしても、いざその契約書が必要になったときにはすぐにその内容を確認できるようにしておかなければ意味がありません。
まずはこちらの契約書の管理体制を整えておくようにしましょう。 顧客先・契約内容・支払期限ごとに管理を行い、

  • 誰から
  • 何を
  • いつまでに
  • どこへ
  • どういった内容で
  • いくら

「支払いを受けなくてはならないのか」 「納品するべきなのか」
をすぐに照会できるようにしておくべきです。

また、いくらこちらが適切に管理をしていても相手方も同じとは限らないため、 決算期や半期ごとに顧客にこちらへの債務残高の照会などをお願いしてみるのも有効な手段です。
管理体制が整っていることを相手方にアピールすることによってこちらへの信用を高めるだけではなく、 相手に「あそこはしっかりしているから払わなくては」と思わせることにつながります。

契約書に入れておきたい項目

契約書には、商品の種類・数量・単価、代金の支払方法・支払期限、商品の納入場所などの基本的な項目は当然ですが、 いざというときに備えて次のような項目を入れておきたいところです。

項目 説明
遅延損害金
(損害賠償)
支払いが遅れたときに、遅れた期間に応じてかかる金利です。
契約の内容によってその利息が制限されている場合がありますので、 よくわからない場合には専門家に相談することをおすすめします。
期限の利益の
喪失
「支払いが滞った」「契約に違反した」「不渡りが出た」 など万が一の場合に備えて期限の利益がなくなる条件の文を盛り込んでおいた方が安全です。
所有権の
留保
代金が後払いでも、商品を引き渡すとその時点で所有権が相手に移ります。
万が一、相手が商品の差押を受けると、代金が未払いであっても自分の所有権を主張できません。 こういったときに備えて所有権が移るのは「代金を支払ったとき」という文を盛り込んでおきましょう。

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